がんばってかっこよく言うと 落ちていく記憶の覚え書きとか…… ついでにホントのこと言うと八割が嘘のブログです
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ワールズエンド
止んでいた雨がまた降り始めた。それは、植物が芽を出す瞬間に似た静けさで。音も無く始まる異変。
「何で夜の雨ってさみしいんだろ」
彼女がつぶやいて、それは私も思っていたことだったから小さく「うん」とうなずいてそのまま黙る。薄明かりに降る雨は胸騒ぎがするけど、暗闇に落ちていく雨はひたすらどこか遠くへ向かう音がする気がする。二人で雨の音に耳を澄ます。
「雨の匂いがすごいね」
うん。深呼吸したくなるね。

彼女はカンパリソーダが入ったグラスを傾ける。私も、床に置いていたグラスを取ってやっぱりカンパリソーダをなめる。
彼女は幼児がコップを持つみたいに、私は湯飲み茶碗を持つように片手を少し下の方に添えて、彼女も私も両手でグラスを持つのだった。
いつくしむように。または、しがみつくように。

音を消したテレビがまたたいて、遠い異国で行われている熱い試合が映っていた。

     

「目覚めると雨が降っていた。濡れたコンクリートの匂いがあたり一面にたちこめ、建物と道が一枚の灰色の絵のように見えた。雨が降ると、雨が空間を埋めた分だけ、世界が小さくなった気がする。世界が小さければ、相対的に人々と近くなった気がするのに、傘をさした人々は、足元ばかりを気にして通り過ぎていく。今日は、広げた品の前で立ち止まる者もいないだろう。……見えないのに、緑の匂いがする。雨が、降っていた」
彼女がつぶやいた。私たちのやった芝居の、最初の台詞だった。
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